スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

キンドルの衝撃 / 石川幸憲 


キンドルの衝撃キンドルの衝撃
(2010/01/30)
石川 幸憲

商品詳細を見る


私はビジュアル型の人間だと思う。言葉を聞くだけでは、日常の会話でも右耳から入った音声が脳を通過して左耳に出てしまう。書きとめると、あたかも一語一語が手づかみするかのようにはじめて言葉が生き生きとしてくる。
あとがきの冒頭にこうある。かなり共感できる気がしたので釣られて買ってみた。

…だがしかし。看板に若干の偽りアリ。「キンドルの衝撃」というよりは「主にアメリカの新聞業界から見た昨今のメディア革命について」という印象。表題から期待していた「電子書籍端末と現代のe-readingに関する総論」といったような内容については、終章の10ページほどで考察しているだけで、それ以外は新聞についての議論ばかり。まぁ著者の略歴を見ればそれも頷ける。

新しく知ったこともたくさんあり、面白かったけど、ちょっと偏りすぎじゃないかな。キンドルは電子新聞専用端末ではなかろう。新聞が無視できないポイントであるのは間違いないだろうけど。

それでもキンドルは日本でも成功を示すのではないかと感じた。キンドルの設計哲学についてジェフ・ベゾスの言葉が載っている。曰く、キンドルは消えなければならない(p24)。本というモノは、そのインクや紙の綴じは、読んでいる最中には気にならないものであり、読者は著者の世界に入り込む。電子書籍端末でも、この読書の醍醐味を実現しなくてはならない、ということらしい。

この設計哲学が正しいかどうかは別として(かなり核心を突いている気はするけど)、読書とは何かというところまで掘り下げて突き詰めた上で、それを端末開発に反映させる。これを会社のトップが胸を張って言っているなら、かなり信頼できる気がする。ちょっと前に読んだもしドラに影響されてるだけかもしれないがw、技術の押し売りでなく顧客のニーズを掴むことは必要でしょう。もともと機器メーカーでないからこそ出来たことなのかなぁ。読書という体験を深く考察した上で、電子書籍端末は開発されなければならない(p66)と著者も言っている。要するにそういうことなのだろう。

更にAppleは長期的なビジョンとして、『あらゆる時代、あらゆる言語、あらゆる本をすべて購入可能にし、60秒以下で入手できること』としているらしい。Googleさんも似たような違うようなことをやろうとしているらしいけど、どうなんじゃろ。でもロマンがあってよろしい!!

新聞を考える上では、セレンディピティ(serendipity)ということばを初めて知ったけど、これが大きなキーポイントたりうると感じた。日経新聞電子版にも言いたいことは色々あるが、やはり見出しだけでなく記事の内容まで総覧することによるセレンディピティは、紙媒体の大きなメリットだ。テキスト化されてページ毎になっているWeb上の記事では、記事の切替も面倒だし。その意味で、ニューヨーク・タイムズのトップページは面白いと思った。縦書きの日本語新聞には簡単に真似できることじゃないけど、このアイディアは応用できないのかな。しかも今のところ無料。その辺はビジネスモデル構築がんばれw
The New York Times

ネット上のニュースで内容まで読んでいる人はかなり少ないという指摘もあったが、コンテンツ提供側はこれに気付いていて目を反らしているんじゃないかという気もする。

あとは、そもそも今の「出版」という仕組み自体がなくなるだけで、電子書籍という新概念が必要かどうかも議論の余地があるのではないか。これは過渡期に於ける一過性の商品になるのではないのか。文章作品もマルチメディアのうちの一つと考えれば、既存のプラットフォームでも文章の発表にはたえるのだから、新人類が紙媒体への感傷を失ってしまえば、長期的な未来には書籍とか出版という概念が必要ない気もする。あ、でもこれは今後5年10年を見据えたビジネスを前提とした話なんだな。論点が違った。

それから、発売から4ヶ月経っていないが、iPad発表前の本なので既にちょっと古いw
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://damest.blog12.fc2.com/tb.php/12-ade38f18

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。