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狼と香辛料ⅩⅤ 太陽の金貨<上>、狼と香辛料ⅩⅥ 太陽の金貨<下>/ 支倉凍砂 


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遠くに故郷を想いながらも、田舎の麦畑で約束に縛られていた、狼であり神であるホロ。自分の店を持つことを夢見て行商路を回る、一介の若手商人に過ぎないロレンス。その二人が出会い、様々なトラブルに首を突っ込みながら、絆を深めていく。ある意味でこのシリーズは、ただそれだけの話だった。ヒロインの特殊能力を鍵にセカイを救う冒険譚ではないし、一介の行商人が稀代の大商人になるサクセスストーリーでもない。それどころか、地理的な目的地であったヨイツに到着することも、主人公の夢であった店を持つということも達成されていない状況で本編終了となった(続刊として外伝がもう一冊刊行される予定ではあるが)。

人と人ならざる者の恋物語は少なからず読んだことがあるが、これは今までに読んだどの作品とも違う気がした。好き合うようになる過程のドタバタに終始するのではなく、ロレンスとホロの意識をその先に向けさせていたところが、ファンタジーでありながらも恋愛小説として良質だった部分だと思う。シリーズ後半、彼らは常に葛藤の中にあった。そしてその丁寧な葛藤の描写の末に、ロレンスはホロの手を引くことを決断し、ホロもまた妥協を受け入れてロレンスの傍にいることを選ぶ。二人の成長物語ではあった。そのあたりの機微がとにかく最高だった。

ホロの花魁詞と老練に見せかけて実は女の子なキャラが云々とか、ホロとロレンスのツンデレイチャラブな掛け合いとか、金融業が台頭する以前の(?)商戦の面白さとか、物語世界の生活のリアリティを感じる文章表現とか、褒められる点は他にも多々ある。ぜひ著者には、ラノベの外でも小説を書いてみて欲しい。



というか、シリーズの感想になってしまった。最終話たる「太陽の金貨」についても少し。

ホロはレスコの町で昔の仲間の伝言を遂に受け取る。この時の、人ならざる者の感傷というのが好きだ。その表現にファンタジー作家の技量が表れると思う。著者の想像の産物でしかないその感傷をいかにうまく表現するか。そして、旅の中で人の世界に迎合して暮らす羊や鳥に出会い色々なことを考えてきたホロが最後に出会ったのは、兎だった。その兎が新規貨幣の発行に賭けた夢は、古い時代から新しい時代への転換だった。その夢に同調した商人ロレンスが口にした言葉。商人は商いをし、商いの基本は利益を得ることです。そして商いの利益は誰かを喜ばせて得るもの(p295)だという行商哲学。このロレンスのキャラクタもまた、気持ちよくシリーズを読めた大きな要因だったように思う。
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