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イカの哲学 / 中沢新一、波多野一郎 


イカの哲学 (集英社新書 0430)イカの哲学 (集英社新書 0430)
(2008/02/15)
中沢 新一、波多野 一郎 他

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友人に勧められて読んだ。色々考えて書いてるうちに、何が言いたいかよくわからなくなったけどそのままうp。哲学者は考えをまとめるのが上手いなあ。


波多野一郎。グンゼ創業者・波多野鶴吉の孫、神風特攻隊で出撃直前に終戦、4年間のシベリア抑留、スタンフォードの大学院哲学科に留学。そんな彼が、アルバイトでイカと向き合い続けて閃いた平和論。それを1965年に小数部のみ出版した「烏賊の哲学」。これに学生時代に感銘を受けたという中沢新一が更に掘り下げて平和について論じているのが本書。波多野氏による「烏賊の哲学」本稿と、中沢氏の「イカの哲学から平和学の土台をつくる」の二部構成になっている。


1.烏賊の哲学 / 波多野一郎
この人は「考えること」に真摯に向き合うスタンスが凄い。根っからの哲学者だったんだと感じた。「烏賊の哲学」の是非よりも、その生き様に感銘を受けた。文章は、自分の体験記でありながら藤野大助という名前の主人公を立て物語のように綴られている。

戦中の思想喧伝に煽られることはなく「健全な」哲学に勉めた大助は、特攻隊に参加する。敗戦後、満州に居た大助はシベリアに抑留されることになり共産主義に対する是非を突き付けられるが、"これは世界の一部にすぎないのだ。俺達は世界の他の部分を見なければ、乃ち、ヨーロッパとアメリカを見なければ何ともいえないのだ!!(p50)"と考え、終戦6年後に実際にアメリカに渡航する。そしてアルバイトで毎日大量のイカと向き合う中でイカの「実存」を識り、自分の戦争体験に基いて平和を為す方法を考える。その結果、"大切なことは実存を知り、且つ、感じるということだ。たとえそれが一疋のイカの如くつまらぬ存在であろうとも、その小さな生あるものの実存を感知するということが大事なことなのだ。この事を発展させると、遠い距離にある異国に住む人の実存を知覚するという道に達するに相違ないのだ(p61)"と、世界平和への鍵を見つける。



2.イカの哲学から平和学の土台をつくる / 中沢新一
「イカの哲学」に対する思い入れが強すぎて、「ちょっと何言ってるか分からないです」という印象を受けた。いや自分の勉強不足というのもあるだろうが、始め(p76)で定義している「イカ的なもの」という表現が指すものが曖昧過ぎてよく解らないから、その後の議論もよく解らない。また、宗教や芸術や戦争を産み出す生命の根源のような原理を「エロティシズム」と呼び、平和にはエロティシズム態にの平和と平常態の平和の2種類があると言い始める(p90)。それに対して戦争(的なもの)は全てエロティシズム態によるとしているようだが、そこが疑問だった。近年の戦争は、どちらかというと平常態の戦争に属するのではないだろうか。よく知らんけど。

とにかく、理解できないというよりも、なんとなーく言ってることは分かるんだけど、根本の部分があやふやで納得できない論調に思えた。せっかくの純粋な「烏賊の哲学」を、斜めに深読みしてる感じ。平和も戦争も社会の相対的な状態を指す言葉に過ぎなくて、その意味ではかなり表層的な概念だと思う。実存を感じる文化を取り戻すことも一つの平和への足がかりかもしれないが、実際の戦争はもっと平常態の国際政治の問題なのだと思う。戦争という問題を前に、実際的には哲学は無力なのではないだろうか。

波多野氏は"人間世界においては、思想の相違が戦争の原因である(p59)"ことにも気付く一方で、"人々から彼等自身の思想を取り上げてしまうということは非常にむずかしいということをよく知って(p60)"いたのだ。この諦観に立脚してメタ哲学というか政治哲学というか、そういう何かを考えなくてはいけないんじゃないの?





波多野氏の文章を読んで想起したのは、Mr.Childrenの『掌』。この中で桜井さんは「君は君で 僕は僕 そんな当たり前のこと 何でこんなにも簡単に 僕ら 見失ってしまえるんだろう」と歌っている。イカというのは波多野さんの場合に一つの切っ掛けであっただけで、そんなものを持ち出さなくとも相手の実存に気付くことはできるかもしれない。「ひとつにならなくていいよ 価値観も 理念も 宗教もさ ひとつにならなくていいよ 認め合うことができるから」とも言っている。桜井さんも恐らく、人と人の思想のギャップは決して埋めることはできないと気付いている。その上で、我々にできるのはお互いの実存を認め合うことだけだと、諦めと祈りを込めて歌っている。そう感じた。諦めるとは明らかに見極めることであると、桜井さんが言ってた気がする。

中沢氏の文章を読んで想起したのは、鳩山由紀夫前首相。基本理念とか、言いたいことは何となく分かる。友愛にしろ東アジア共同体にしろ、イカ的なものにせよエロティシズム態にせよ、確かに根底にはそういう観点も有り得るかもしれないし御立派なことだと思うんだけど、戦争ってそんなに哲学的なものなのかな。
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