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キュレーションの時代 / 佐々木俊尚 


キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)
(2011/02/09)
佐々木 俊尚

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相変わらず頁数の多い新書だが、あっという間に読了した。情報のビオトープ化。記号消費からつながり消費へ。他人の視座にチェックインすること。そこから拡がるキュレーションの世界。読者を導くこの流れが鮮やかで無駄がなく、感動的ともいえるものだった。他の著書やツイッターでの活動を見ていても感じるが、佐々木さんの未来の語り方が好きだ。ジャーナリスティックな提言の新書としては多少冗長だが、それも著者の味だと思えてしまう。

情報のキュレーションというのは、今はまだ、新しく曖昧な概念である。だから、いろんなコンテンツ産業の事例を列挙しながら、この新しい概念をゆっくり丁寧に形成していく。しかも著者は様々な芸術文化に造詣が深いようで、ワールドミュージック・眼鏡・茶道・映画・絵画など、その引き出しの多さに驚く。これらの具体的な事例から、概念を形成して提示していくその過程が、本当に秀逸である。

本書では「本」という文化についてはあまり語られていなかったので、当てはめて考えてみる。

出版業界では、長引く不況やその他の複雑な事情の中で、売上高は減っているのに新刊書籍の出版点数は増えているという状況が続いている。本が増えてノイズも増え、読者は読みたい本を見つけるのに手間がかかるようになる。しかし読書文化の中でも昨今はSNSが大きな役割を果たしており、mixi読書メーター本が好き!などのビオトープで感想や情報交換が為されている。その中から、情報をすくいだし、他人に紹介しようというレビュアーが現れてくる。そのレビュアーの視座にチェックインして本の世界を見渡す。そうすることで、そのレビューと自分の所見とのゆらぎからセレンディピティが生まれ、新しいビオトープへ接続する第一歩となるかもしれない。…こう考えると、著者が述べているキュレーションの世界は「本」という文化の中にも着実に広がっている。書評という活動もまた、一つの立派なキュレーションなのである。

また『電子書籍の衝撃』でもそうだったが、一般ブロガーのエントリや2ちゃんねるのレスなどの個人が発信した情報も、マスメディアの情報と同じようにフラットに引用して考察している。このスタンスが良い。まさにキュレーション・ジャーナリズムの体現者という感じである。

インターネットによって総てがつながったことで、逆に実際的なコミュニティがビオトープとして分散化しているというのが、逆説的で非常に面白いと感じた。そういえば、mixiの大崎善生コミュでは、大崎さんの奥さんであるところの高橋和さんがたまに現れて、新刊の宣伝をしてコミュニティメンバーとやりとりをしているのを見かける。キュレーションとは少し違うかもしれないが、小さなビオトープ内ならではの微笑ましい光景だと思う。
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