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偽善エネルギー / 武田邦彦 


偽善エネルギー (幻冬舎新書)偽善エネルギー (幻冬舎新書)
(2009/11)
武田 邦彦

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"一人一人が、「私は○○のことは難しくてわからない」と言ってはままならない時代なのです(p148)"という記述がある。この未曾有の国難(含人災)を見るに、まさにその通りだと思う。しかし原子力であれ何であれ、一般人は専門家ではない以上、勉強するにも限度がある。そこで我々にできることは、信頼できる専門家の人間性・スタンスを見極めて、それに付いていくことだと思う。文句ばかり言っていても国は放射線から守ってくれない。自分の判断と責任のもとで信頼できる人を選出して、その人の助言に従う。私の場合、震災後は武田先生の助言に命を預けるつもりで追っています。(というかこれって、議会制民主主義と何か似てる?)


で、そんな武田先生の2009年出版の本。日本と世界のエネルギー資源の現状・課題・将来について。科学的に正しい点と間違っている点がよく整理されており、分かりやすい。

エネルギー問題を考えるときに今特に興味があるのは、原子力発電についてだ。大体こんな感じの話が展開されている↓。今回のフクシマ事故は、想定内の人災であったことが分かる。

日本には安全な原発を造る技術はある。科学的・工学的には、安全に原子力発電所を運転することができる。しかし、耐震基準を決める段階で大きな地震に耐えられないようになっている。つまり、これで事故があったら人災である。更に問題なのは、事故が起きた場合の付近住民への対策がないことである。また核廃棄物についても、安全な処理方法が確立されている。中長期的には石油が枯渇することも分かっているのだから、このような「人災」たる部分を解消して、安全な原発をどんどん増やさなくてはならない。(p38~、p165~)


相変わらず細かい日本語表現には無頓着なので、怪しい記述も多い。大意としては間違っていなくても、クリティカルに読むことを心がけないと、全てを真に受けるのも危ないとは思う。

しかし、全体として誠実な態度であるのは間違いないし、恐らく科学的な観点としては嘘は書かれていない。化石燃料の国際的な流れや、食糧資源の問題などについてもまとまって整理されており、勉強になる。日本のように石油も食糧も大量に輸入するという国は特殊であるということは、知らなかったというか特別に意識したことはなかったが、少し考えると国家として危ない状況であることは想像できる。

それでも著者は、悲観がいちばんいけないと言う。"このような時代にあって、持続性ある社会を保ったり、日本が発展するために必要なことは、「節約」ではなく「イノベーション(技術革新)」"であり、"新しい時代に向かって、新しいことをどんどんやっていけるような社会風土、人材を養成することこそ、日本に必要p246)"だと。必要は発明の母であり、これからも新しい発明はどんどんあるんだから、そのことに期待も込めつつ将来を見据えようとしている。これは著者にとって根拠なき楽観ではなく、科学史の経験による洞察である。科学者としての強がりも含まれている気がするけど、それに乗ってみてもいいかなと思わせてくれる言説である。
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