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僕たちは美しく生きていけるのだろうか。 / 茂木健一郎 


僕たちは美しく生きていけるのだろうか。僕たちは美しく生きていけるのだろうか。
(2011/09/08)
茂木 健一郎

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科学者の中にも有名なエッセイストはたくさんいる。そんなに多くを読んできたわけではないが、科学を生業とする人が書くエッセイでは、その文章は理路が整っていてロジカルな傾向があるように感じる。しかしこの本は、著者の主観的な直感に基づいた「美」に関する雑感が並ぶ。

"美しさとは、「平均値」のことである。さまざまな人の顔の特徴を「平均化」すると、美しい顔になる。つまり、美というものは、案外凡庸である。これが、現代の科学が教える「事実」であります。(p110)"
というような科学的な(?)アプローチもあるが、考察の中で引用されるのは哲学者や芸術家がほとんどである。この辺りのセンスは、クオリアの研究者ならではの感覚なのかもしれない。


 僕たちは美しく生きていけるのだろうか。

この文言も本文中にも幾度も登場する。しかしこの類の問いに対する回答のセオリーは決まっていて、ストレートに答えを提示すると「生きることそのものが美しい」というような内容に落ち着くものである。つまり、この自問を起点とした思索を通して生きることの輝きを掬い上げようと試みる、その過程がポイントなのであり、Can we live beautifully? に対して Yes/No で答えようとすることは野暮なのだろう。

だから本書は、著者の感覚に共感する人には静かな哲学の時間を与えてくれるだろうし、共感しない人にとっては毒にも薬にもならないオッサンの呟きでしかないだろう。でもエッセイってそもそもそういうもんなのかな。

実は著者については、今まで「テレビによく出ていてTwitterで香ばしいことを発言する胡散臭い脳科学者」という印象だった。だから正直なところ、意外に共感する部分が多くて、読んでいてむしろ戸惑った。細部に突っ込みたいポイントは山ほどあるし、主張の是非をジャッジするような読み方をすればつまらなかっただろう。しかし、著者の思考のレールに沿って散歩をしながら、足下に咲く花を愛でたり小川を流れる魚を探したりして、自分なりの「美」や「生」を考えるのは、楽しかった。
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