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神様のカルテ / 夏川草介 


神様のカルテ神様のカルテ
(2009/08/27)
夏川 草介

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『神様のカルテ』。正直、最後まで読んでもタイトルの意味はよくわからなかった。本書(第七刷)の帯にはこのような惹句がある。
「神の手を持つ医者はいなくても、この病院では奇蹟が起きる」
「患者に心を寄り添わせてくれる医者の言葉には、先端医療にも匹敵する治癒力がある」

…いや、そういうお話ではなかったでしょうに。

信州は松本、山間の地方都市の総合病院。慢性的医師不足にも負けず、24時間365日、日夜患者を診る医師たち。そこには神様はいないし、奇蹟も起きない。手のかかる困った患者は多いし、現代医療にできることはなく死を待つだけの患者もいる。そんな中、大学病院の「医局」に誘われて自分がどうすべきなのか悩む主人公。

それでも、“世界で一番可愛い”細君の笑顔に支えられながら、盟友の門出を乾杯とバンザイで祝いながら、上司に、同僚に、患者たちに、医者の何たるかを教わっていくのです。それは何というか、「道」にも似た信念に思えた。医学というか医療というか医術というか、医道?

主人公が生とか死とか人間に悩む小説としては、軽いのに深く、芳醇な味わいだった。軽いのは登場人物のキャラクター造形に、深いのは著者が実際に信大医学部卒で現役の医者であることに由来するのだろう。そのバランスが絶妙で、古風で独特の文体ではあるが読みやすい。最後に主人公が辿り着く当座の結論もとても清々しく、気持ちの良い読書だった。現代日本における地域医療が直面している課題とか、大学病院の医局制度の功罪についても、ちょっと勉強になったりします。

北アルプスの山々を背景に語られる地域医療の現実と葛藤に関するリアリティというのは、この著者ならではのものなんでしょうね。松本って独特の雰囲気がある街だよね。国道19号、松本城、縄手通り、深志神社、上高地、河童橋。信州に縁ある人なら、街並みなどの些細な描写も親近感を以て楽しめること請け合い。
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