スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

灼熱の小早川さん / 田中ロミオ 


灼熱の小早川さん (ガガガ文庫)灼熱の小早川さん (ガガガ文庫)
(2011/09/17)
田中 ロミオ

商品詳細を見る

自分以外のクラスメイトを無知蒙昧な愚民と詰って憚らない小早川さん。勉強でも運動でもクラス内政治でもソツなく立ち回る主人公が、そんなヒロインに巻き込まれながら、最後には打算も含めて己の衝動に駆られながら、クラスを学校を改革していく物語です。「悪い奴」はいないはずなのに崩壊し「廃墟」と化してまう日本の学級社会。大人が踏み込めないそこでは一体何が起きているのか。そんな話です(?)。

本書を読んで社会学者・宮台真司の言葉を想起した。
「お任せして文句を言う社会から、引き受けて考える社会へ、皆さんの意識を変えていかなくてはならない。そしてその方が楽しいはずである」
昨夏、とあるパネルディスカッションで、日本は民主主義国家ではないと切り捨てた後に、そのような主張をしていた。小説の中でも、無害で無責任なクラスメイトたちについて、住人には違いないのに、帰属意識がない(p141)と表現されている。上手く現実を炙り出していると感じた。彼らが自覚的・無自覚的に醸造する「空気」についての描写は、小説的デフォルメはあるものの、とても生々しい。そしてそれは、子供の学校においてのみならず大人の社会をも覆っているものであり、その辺りの示唆が上手い。

そんな、著者が意図したかどうか解らないメッセージに想いを馳せなくとも、帯にあるように「ヒロイン観察系ラブコメ」として充分に楽しめる内容にはなっている。物語の合理性とか、キャラの感情変化とか行動理念とか、とても丁寧に描かれている。この人の文章は結構読んできたけどやはり好きだ。ニヒルだけど熱く、芯が通っているけどブレている感じが。

しかしこの著者を読むには独特のリテラシーが要求されます。いろんな小ネタや仕掛けが散りばめられているけど、それに対するツッコミが小説中で放棄されており、それは読者に投げられている。ニコニコ動画のような、敢えて読者自身にツッコミを任せる書き方。ネットスラングなどもナチュラルに用いているので、例えば10年後の若者に、受け入れられるのか、どうか。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://damest.blog12.fc2.com/tb.php/500-dde89639

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。