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電子書籍の衝撃 / 佐々木俊尚 


電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)
(2010/04/15)
佐々木 俊尚

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iPadが発売された。友人で早くも買った人がいた。電子書籍はこれからどうなっていくのだろう。ということで先に読んだ『キンドルの衝撃』は期待はずれ気味だったけれど、これはかなり面白かった。

・端末
・プラットフォーム
・セルフパブリッシング
・コンテキスト(の中での読書体験)

という4点を主題に、色々書いてある。色々面白かった。新書だけど300ページ超えで読み応えがありつつも、平易に書いてあるので読みやすい。

端末の話は、変革期のど真ん中過ぎて半年も経たないうちに古い話となるだろう。

プラットフォームの話は、ビジネスモデルとか企業の戦略とかそういうアレなので、面白いけれどそれ専門の本を読んだ方が深まりそう。メインストリームで勝負しようと思ったら第一のプラットフォーマーにならないと勝てないんですかね。独禁法って何なんですかね。

という訳で、この本は後半が特に興味深かった。

セルフパブリッシングの話。「まつきあゆむ」という人を盛んに取り上げて紹介している。音楽を宅録してファンとWeb上でやりとりしながら活動している人らしい。そんな感じで出版という文化もミニマルになっていく流れがあるかもね?セルフパブリッシングができるサービスを既にAmazonが提供しているとか、ISBNは誰でも取得できるとか、知られていなくても状況は着々と進んでいるようだ。セルフパブリッシングって、要は同人文学を個人プレイでやってるようなもんなわけで、同人文化の周辺との親和性は高そうだ。最早、売れると思えば出版社を通して本を出す必要はなくなりつつあるわけで、出版業界はホンマにどうすんねん。

ニコニコ動画という場所で初音ミクというソフトが流行り、同人音楽の裾野が広がってそこからメジャーデビューに至る例も出てきている。Kindleという端末で電子書籍が普及し、セルフパブリッシングのサイトに人が集まる仕掛けを作れれば、新しい流れができるかもしれない。でも5分で作品を聴き終わる音楽文化と、10分かけてintroしか体験できない文学では、軽い気持ちで「試しに」クリックさせるのが難しいのかもなぁ。

そしてコンテキスト。最終的にはこれが最重要な気がする。サブカルというかPOPカルチャーというか、その周辺で顕著だけど、大きな文脈の中で、著者と読者の共通了解を前提とした作品が増えている気がする。そしてそれが安易にビジネスにつながるから、様々な人がそれに迎合する。2chなんて最たる例で、「半年ROMれ」という言葉は、要するに、「文脈を理解するまで口を出して良い場所ではない」と言っているのと同義だと思う。そのことの良い悪いは別として、逆にそういった共通了解やコンテキストを読者に要求しないのが純文学というか一般の文芸作品ということになるのかなーと思ったりした。共通の文脈を前提にしないため、代わりに正確なプロトコルの読解能力を求められるけどw

なぜ取次なんていう組織ができたのかとか、本のニセ金化とか、そういった話も簡単に説明してくれてあって良かった。いろんなトピックを詰め込んでありながら、ブレずにまとまっている良書だと思う。


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あ、そういえばキノの旅の何巻だったか忘れたけど、あとがきだったかどうかも忘れたけど、「この本は20××年現在の出版事情に見合った編纂が為されているので、電子書籍とか違う形で読んでいる未来の人には、改行の位置とか云々がどうだこうだ」という注意書きを書いてたのを思い出す。遊び半分の文章だけど、こういうことを考えてる人はやっぱり面白いと思う。
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